断熱のおはなし
保温効果と暖房費
寒くて布団から出るのもつらい冬の朝、冷え切った室内を温めるために暖房をフル稼働。
でもなかなか温まらず、震えながら朝の身支度や家事に追われて・・。
帰宅する頃にはすっかり冷え切った家で同じことの繰り返し・・そんなご経験ありませんか?
- 「暖房しても家がすぐに温まらないのはなぜ?」
- 「どのくらい断熱すれば家を温かくできるの?」
- 「暖房にもっとお金を掛けないと家を温められないの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで「保温効果」と「暖房費」について、2つの断熱性能(外皮性能)の家で比べてみたいと思います。
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断熱性能の比較
- ※外皮性能の計算概要については、”計算したポイント”をご参照ください。
冬の朝の室内温度
先ずは「保温効果」について比べてみましょう。
グラスウール100mm程度の一般的な断熱性能「省エネ基準の家」の場合、22時に暖房を切った時20℃近くあった温度も、どんどん熱が逃げて外気温に近づき、朝6時には8.7℃(朝夕の温度差:11.1℃)まで下がってしまいます。
これではなかなか布団から出られず、震えながら朝の身支度、家事・・となりますね。
一方、断熱性能の高い「最新水準の家」の場合、22時に20℃近くあった温度が、朝6時になっても15.1℃(朝夕の温度差4.8℃)までしか下がりません。
布団から出て素足のままでも、暖房を付ければすぐに温まり、ストレスなく快適に身支度、家事を行えるでしょう。
「省エネ基準の家」に比べ「最新水準の家」では朝方の温度が+6.4℃も高くなり、断熱性能の違いによるこの温度差が「保温効果」です。
断熱性能の高い「最新水準の家」の場合、家全体が温かく部屋間の温度差が小さくなります。
これはヒートショックの軽減にも、さらなる効果が期待できます(⇒冬の快適性)。
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キッチンの室内温度
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各部屋の室内温度
年間に掛かる暖房費
次に「暖房費」について比べてみましょう。
この断熱性能の違う2つの家を比べると、年間の暖房費で16,757円もの違いがあります・・・と言われてもピンとこないかもしれません。
ですが、10年で16万円、20年で33万円、30年で50万円・・と考えるとどうでしょう。
家計の負担はかなり大きいですが、何十年も冬にずっとつらい思いをするのか、それとも温かく快適に過ごすのか・・言うまでもありません。
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1年間に掛かる暖房費の比較
最後になりますが、温暖化の影響で日本の夏も「猛暑」が当たり前となり、熱中症の増加は大きな社会問題となっています。
熱中症の半数以上は住宅内で発生しており、住宅における夏の日射遮蔽(遮熱)対策は益々重要となっています。(⇒夏の快適性)。
屋根の断熱強化、開口部(窓)の日射遮熱などに加え、優れた断熱効果と遮熱効果を合わせもつ「キューワンボード」や「ジーワンボード」を採用することで、冬だけでなく夏も快適で健康な住まいを目指しましょう。
計算したポイント
- 使用ソフト:住宅性能診断士ホームズ君「省エネ診断 エキスパート」
- 地 域:東京(省エネ地域区分:6地域)
- 暖房設備:エアコン
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断熱仕様:
- ① 「最新水準の家」:HEAT20・G3水準(屋根・壁が外張り断熱、基礎内張断熱(断熱材:ジーワンボード、断熱厚さ:100mm)、サッシの熱貫流率:1.18W/(m2・K))
- ② 「省エネ基準の家」:平成28年省エネ基準の性能規定(天井・壁・床が充填断熱(グラスウール)、サッシの熱貫流率:4.65W/(m2・K)。
上記以外にも建物のモデル、生活パターン、家電等の条件設定があります。
注意
本結果は、一定の条件下でのシミュレーションによるものでその効果を保証するものではありません。実際の暖冷房機器、居住人数や生活パターンなどにより、シミュレーション結果と実際とでは異なります。